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REPORT
長期療養中のこどもたちの最高のこども時代「青春」をつくる理由。
それは、こどもたちの「青春」が、小児医療の未来をつくるからです。
病気を発症した時、どんな治療をするのか、完治するか、ネットや本等を調べると多くの情報を得ることができます。その一方で、こどもたちが治療しながらも、どんなことができるか、どんな可能性や未来があるのかは、同じ療養中のこどもたちの「青春」が教えてくれます。こどもたちが創り出す「青春」は、同じように療養中のこどもたちの「ロールモデル」となり、長い治療生活を頑張る希望と力に与えます。
また「青春」を一度でも経験することで、こども本人がもう一度したい、また家族がもう一度経験させたい、その思いが長い治療生活のこどもたちやご家族の病気に負けない、活きる原動力になります。
その長期療養中の「青春」を実現するTEAMを日本全国につくるのが、Being ALIVE Japanのミッションです。
Being ALIVE Japanは2015年より、スポーツを通じて長期療養中のこどもたちの最高のこども時代「青春」をつくる活動を取り組んできました。5年間で8都道府県で活動を展開し、累計828名のこどもとそのきょうだい、6病院でスポーツ活動の企画運営、11名の長期療養児の入団を実現してきました。
2017年11月に立ち上げた「長期療養中のこどものスポーツチーム入団事業TEAMMATES」では、最初に男子プロバスケットボールクラブ「アルバルク東京」に人形櫂世くんが入団。その櫂世くんのチーム活動の記事をみて、同じ病気の八木剛道くんも自分も参加したいと団体に連絡をいただき、アメリカンフットボールチーム「ノジマ相模原ライズ」に入団も実現しました。また当団体が設立当初より実施している「入院児向けの病院でのスポーツ活動」をきっかけに、入団事業にも参加するこどもたちもいます。
多くのお子さんやご家族から「発症時に、病気や治療のことはネットや本を探したら出てきたけど、同じ病気のお子さんがどんな生活を送れているのか、どんなことができるかはネットで見つけられませんでした。でも、この活動を通して、初めて同じ病気のお子さんに出会い、できることを知り、不安の療養生活から希望をもてる療養生活に変わりました。この活動を通して、親も知らない、こどもの「できること」を沢山教えてもらっています。」と話して下さる保護者もいます。
また他の保護者からも「病気のため、普段は痛くて歩かないのですが、他のお子さんの楽しそうな様子をみて、今日自ら歩いて参加していて本当にびっくりしました。」と、保護者だけではなく、私たち、一緒に活動をして下さるアスリートやスポーツチーム、病院スタッフも毎回、こどもたちが切り開くチカラ、またこどもたち同士が引き出すチカラから、新しい「可能性」を教えてもらっています。
私自身も長期療養生活を経験し、病名と治療法がわかるまでに15年間かかり、その長期療養生活の経験からこの活動を始めました。
「家族性地中海熱」
それが私の病名で、指定難病の一つで、日本全国でも数百人程度と聞いています。
5歳の頃に発症し、8歳の時には、主治医に20歳まで(生きること)は難しいと言われました。病気は、周期的に発熱と胸痛や腹痛を繰り返す病気で、毎回炎症反応を調べると盲腸の数倍以上の痛みがあり、その痛みを和らげる対症療法をしかできない療養生活でした。身体のどこかが痛いことは物心をついた頃から当たり前であったため、痛みがない生活があるなんて治った当初は想像もできませんでした。でもそんな日常、療養生活が続いている間も、ちゃんと医学や診断技術は進歩していて、15年という時を経て痛みのない日常と「同世代との当たり前」、私にとって「新しい当たり前」が今あります。
私は15年間の療養生活の中で、同じ病気の友達とは出会えませんでした。でも、ゴールが見えない長い治療生活の中で、療養中の仲間の存在は、私が一番療養中に知りたかった「自分ができること、未来」を教えてくれて、支えてくれました。
その経験から、長い療養生活が必要であっても、治療でこどもたちの「青春」を諦めさせない。今は治らない病気でも、長く付き合っていかないといけない病気であっても、こどもたちの療養生活とその先の人生を支えてくれる、治療しながら「青春」を送れる小児医療、社会、未来を実現するチームをつくる。
その想いから、Being ALIVE Japanの活動を設立しました。
「スポーツを通じて、長期療養中のこどもの青春をつくる」活動の原点は、米国留学中に携わったアトランタパラリンピックのレガシー団体BlazeSports Americaで、一緒に活動していたパートナーが教えてくれた「Blaze a trail」というスポーツができること、スポーツがもつチカラに感銘を受けたからです。
Blaze a trailとは、
「新しいことでも、誰かにとって大事なことを取り組むことで、その先の未来ではそれが誰にとっても当たり前になること」という意味です。
パラリンピックを通じて、障害スポーツの認知向上だけではなく、障害のある人に対するポジティブなイメージができること、障害のある人が参画できる機会が地域社会の中に増えること、雇用の可能性の幅が広がること等、スポーツを通じて誰かにとって新しい「当たり前」を生み出すことができる。それが、スポーツが創出する「レガシー」でもあり、スポーツを通じて継承され続けている。
スポーツが「ヒト」や「社会」、新しい「可能性」や「未来」を築いたり、繋げたりするチカラがあること、誰かの生活や人生の価値観を変えることができる。病気や治療のためにその日しか描けない療養生活から、明日その先を描きたくなる療養生活に変えることさえもできると、BlazeSports Americaの実践の中で学んだスポーツがもつ価値でした。
私はスポーツを通じて、長期療養中のこどもたちの今だけではなく、10年後、20年後に今ここにはない、こどもたちにとって大事な「当たり前」、新しい「可能性」「選択肢」を小児医療の未来に繋げたい、それがBeing ALIVE Japanの活動として目指していることです。
誰にとっても、「青春」はあったらいいものではなく、すべての人のその先の成長、長い人生に必要不可欠な経験だと思います。
私たちBeing ALIVE Japanが実現したい、長期療養中のこどもたちの最高のこども時代「青春」は家族、また医療者だけではつくれません。病院の中でのスポーツ活動も、多くの医療者や院内学級の先生方の理解と協力を得て、一緒にこどもたちにできることを考えた先に実現します。またアスリートやスポーツチームの賛同と理解、協力を得て、スポーツを通じて長期療養中のこどもを支えてくれる、応援してくれる仲間を病院や地域社会の中に創出することができています。
5年間の活動では、Being ALIVE Japanは、どのアスリートやスポーツチーム、病院スタッフにも、安全面のみの打合わせ、また大人やチーム、支援者がしてあげたいことではなく、私たちは「こどもたちが主体的に参加できる」企画をすること、また一緒に「こどもたちの青春を実現する」モチベーションづくりに時間をかけてきました。時には1日、時には数ヶ月かけることもあります。でもそれは、私たちが実現することが「こどもたちの人生」の一部に関わるからです。
私の病気や療養生活について今回を書いたのも、一緒にできることを見つけてくれる存在、できたことや成長を一緒に喜び共有できる存在、一緒に可能性を広げる存在、その仲間の存在が全部こどもたちの療養生活、そして最高のこども時代を「青春」をつくる上で必要不可欠であり、それが長期療養中のこどもたちが知ってほしいこと、この活動に「大事」なことだと伝えたいからです。
Being ALIVE Japanは、長期療養中のこどもたちの青春を実現する仲間をつくり、その仲間を動かすことが団体として存在意義があると考えています。
新型コロナウイルスの感染流行により、今までとは異なり、できる支援の多くは「オンライン」を通じた支援と限られています。でも、私たちBeing ALIVE Japanはオンラインを通じた支援で、さらに今まではなかった「出会い」「可能性」、「当たり前」を小児医療に実現できると確信しています。
2020年4月末より、過去に協力してくださったアスリートを中心に、一緒にオンラインで交流するオンラインプログラムをつくり、合計16回、累計117名の長期療養中のこどもたちやきょうだいに提供してきました。団体が全て企画しアスリートに参加してもらうのではなく、アスリートにも企画段階から一緒に考え、提供してきました。8月7日には初めて横浜市立大学附属病院にて、入院中のこどもたちとアスリートが交流できる事業も実現しました。
【活動レポート】初実施!入院中のこどもたちとアスリートが交流できるオンライン事業!
皆様のご支援とご協力でこの青春をつくることを通して、新型コロナウイルス禍で「制限」を増やすだけの小児医療ではなく、こどもたちに新しい「可能性」「未来」をつくる小児医療に貢献して参りたいと思います。
現在、Being ALIVE Japanでは、長期療養中のこどもに最高のこども時代「青春」を実現するチームを全国につくる活動をご協賛・ご協力をいただける企業様や支援者の方々(マンスリーサポーターや個人寄付)を募っています。ご支援のご検討をいただける方は、SUPPORTのページ、また団体にお問い合わせをいただけますよう、お願い致します。
代表 北野華子