Information
インフォメーション
REPORT
2023年より、山梨県西湖で開催する長期療養中のこどもと家族のスポーツキャンプでは、株式会社アミューズにご協力を頂き、四人乗りの大型「足漕ぎボート」で水上散歩の体験を企画提供しています。
最初のセッションは、低学年・体力が少ないお子さん向けに実施。こどもたちは水辺の近くでボートを漕いで楽しんだり、水の音や風の動きを感じたりする体験をしました。2つ目のセッションは、高学年のお子さんや体力があるお子さん向けに実施。みんなで少し遠くにある樹海まで漕いでいき、自然にたくさん触れてもらいました。翌日の朝には、親子で体験できるセッション(希望制・有料)も実施しました。
こどもたちから「家族や友達と遊べてよかった」「僕は足が使えないので手で漕ぎました。風景は山が綺麗でした。」「はじめは落ちそうでこわかったけど、だんだんたのしくなった。足が少し疲れたけど最高だった」等の感想をいただきました。
今回、普段は直射日光の活動、またプールや温泉等の水に入る活動に制限がある小児がんで胸部カテーテルをつけているお子さん、また骨髄移植や抗がん剤で維持療法中のお子さんも参加しました。事前アンケートでご家族から「胸部のカテーテルが濡れたらどうしよう」、「普段、水を怖がっていますが参加できるかな」と不安の声をいただいていました。
活動前にどんな活動を行うのか、HOBIEや西湖でどんなことができるか等、こどもとご家族向けに株式会社アミューズのHOBIE担当者の方に説明セッションを実施していただきました。説明セッションがあったことで、活動の際には緊張感があるお子さんもいましたが、桟橋につくと怖がる様子もなく、皆早く乗りたい気持ちで溢れていました。
胸部にカテーテルがあるお子さんは、看護スタッフが防水のカバーをしたり、一緒にカテーテルが入っている場所を確認し保護をする等の対応を行い、安心して参加できるサポートも行いました。さらに移植後のお子さんや維持療法中等で水遊びに制限があるお子さんも、日焼け対策としては長袖や帽子で着用したり、その服装で活動できる時間や参加グループ等の調整した運営計画をつくり体験の提供をしました。
HOBIEでは直接水に触れなくても、水の音や動きを感じて楽しむこともできるため、水に触れることに制限があるお子さんも、水辺の上での活動を他のお子さん同様に楽しむことができました。
全てのご家族より「とてもよかった」と体験を評価していただきました。またこどもたちの大きな成功体験であったことが伺える感想も頂きました。
「最初は少し怖かったようですが、とても楽しかった!と言っていました。漕ぐのが大変!といっていましたが、大人に頼らず「自分でしっかりこがなきゃ!」という気持ちが芽生えたことは成長だと思います。」
「いつもこども扱いされるのに、戦力としてしっかり漕いで乗船したのが嬉しかったようです。」
「水が透明で綺麗で、冷たくて気持ちよかった、景色がよくて溶岩がかたまった石とか、富士山豆知識みたいなものも教えてもらって楽しかったと話していました。対岸くらいまで長い距離体験できたのも楽しかったそうです。」
水の上でいろんなことをしてほしいという思いがあり、水に手や足をいれてみたり、椅子から立ち上がって前方にいったり、水の中で動かしてみたり、そのときの子供達の一人一人の笑顔や景色をみているキラキラとした瞳が非常に印象的でした。
アミューズとしては、今回のように長期療養のお子さんや普段水辺での活動を楽しむことが難しいお子さんに、水遊びの敷居をさげて、水に親しんで頂ける活動をしていきたいと考えています。全国からそのようなお子さんに西湖にきていただき、体験できる取り組みを行っていきたいと思います。
― 株式会社アミューズ HOBIE JAPAN 沼野 陽人
HOBIEの体験は、長期療養中のストレス軽減をはじめ、ボートにのる仲間と一緒に協力し合う社会性を育む等、長期療養児やそのきょうだいにとって大きな成長と療養生活の支援につながる可能性を感じています。
普段制限があるこどもたちが、それぞれのリーダーシップを発揮したり、ボートを皆で進めていったり等、こどもたち自身が自分で物事をコントロールをできる体験は自己効力感をもてる機会であり、療養中のこどもたちの成長において重要な支援になります。また「こどもたちだけの活動」も自分のできることを自分で見つけたり、互いにサポートしたりすることで大きな成功体験にもつながっています。
医療スタッフの協力はもちろんのこと、株式会社アミューズとは企画時からこどもの病気等への配慮事項を共有し、コミュニケーションをとることでさまざまな配慮がある企画調整が可能となり、普段は水辺の活動や直射日光等の制限や制約あるお子さんも同じ条件で楽しめる体験を実現しています。
治療効果や長期療養における心理・社会面の支援として大きな可能性があるHOBIEの活動を今後団体としても医療と連携したプログラムをつくり、各地で取り組める機会を創出していきたいと思います。
―Being ALIVE Japan代表 北野華子